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| 11.6 並行輸入と商標権の侵害 | |
| (事案)X商標の所有者A社は世界でも有名な消費品会社で、中国に合弁会社B社を設立している。1998年、A社がB社とX商標独占使用付与契約をし、B社に2年間の独占使用権を付与している。B社のX商標を付けた商品は大変人気がある。 | |
| A社は他の国でも、X商標を登録している。ある国のX商標製品の値段が安いため、1999年、中国のある輸入商社Cが、この国のX商標の製品を大量に輸入して、国内で販売をした。そして、B社の当製品に甚大な被害を与えた。そのため、X商標の独占使用権が侵害されたという理由で、B社はC社に訴訟を提起した。C社は「並行輸入」であると抗弁したが、裁判所はC社敗訴の判決をした。 | |
| (分析)本事案は2つの問題に係わっていると思う。1は、商標独占使用権の法律保護の問題で、2は商標独占使用権と並行輸入の関係である。 | |
| その1について、現行の我が国の[商標法]は、登録商標を所有するものが、他にその独占の使用権を付与することを有効としているから、本件のAB両社の間に締結されたX商標の独占使用権付与契約は、法律上有効であると考えられる。即ち、B社はA社のX商標の独占使用権を有する。 | |
| その2については、X商標の権利者たるA社が、その商標をいくつかの国で登録したが、商標国により製品コストに差異が存在する。C社が高利益を取得するため、安いコストの生産国から、製品を輸入したり、販売したりする行為、いわゆる「並行輸入」行為は、商標権者たるA社とその商標につき独占の使用権を有するB社のいずれの権利も侵害していることになるか、否かが問題となり、これが本事案のポイントである。並行輸入を適法と認めれば、C社の行為は、B社の権利侵害にならず、B社の商標独占許可権は価値がなくなる。これに反して、法律、あるいは判例が、B社の商標の独占使用権に、並行輸入を排除する効力を認めるならば、B社は保護される。この問題について、我が国の「商標法」及び関する法律には、明文の規定はない。けれども、商標独占使用権に法律上の保護を与えているし、商標専用権の地域性原則からしても、また外国では並行輸入につき規制する一般的やり方に照らせば、C社を敗訴させた判決を支持したいと思う。 | |
| 弁護士からの一言:我が国の法律は、並行輸入を明確に禁止していない。本事件は、商標権と並行輸入をめぐる紛争についての事例として、今後の商標独占使用権と並行輸入の紛争の処理にすこぶる参考になろう。 | |
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